研究課題/領域番号 |
15659374
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
津田 喬子 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90155383)
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研究分担者 |
津田 洋幸 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10163809)
伊藤 彰師 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40254289)
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キーワード | 帯状疱疹 / 帯状疱疹痛 / ラクトフェリン / VAS / 無作為二重盲検比較試験 |
研究概要 |
本研究は、牛乳中に含まれる鉄結合性の糖タンパク質であるラクトフェリン(以下ウシラクトフェリン)の抗ウイルス作用、鎮痛作用、免疫活性化作用、抗不安作用等に着目し、ラクトフェリンによる水痘帯状庖疹ウイルス感染症である帯状庖疹に伴う疼痛の発生予防効果を検討するものである。平成15年後は、発症後2週間以内の新鮮帯状庖疹患者を対象にして、1錠中にウシラクトフェリン100mgを含有する錠果を、一日18錠摂取させて、ウシラクトフェリンと抗水痘帯状庖疹ウイルス薬併用の効果および副作用発現に関して検索した。効果は痛みの変化、皮疹の程度により判定した。その結果、痛みの軽減、皮疹治癒促進効果が得られる可能性が認められた。赤血球数、白血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値、血小板数、AST、ALT、Al-P、BUN、Cre値には特別な変化を認めず、また短期間の軽度下痢、便秘以外に特記すべき副作用症状は発生しなかった。抗水痘帯状庖疹ウイルス薬投与中の患者にウシラクトフェリンの併用は安全であることが確認された。 次に、抗水痘帯状庖疹ウイルス薬服用中の患者集団においてプラセボを用いた無作為化二重盲検比較試験により疼痛予防効果の検討を開始した。急性期疼痛はウイルス感染症による神経・血管炎であり、局所で放出される炎症性サイトカイン(IL-6、IL-8、IL-18、TNF-α)を測定し炎症性サイトカイン放出抑制効果が期待される。さらに水痘帯状萢疹ウィルス抗体価、皮疹治癒程度、VASによる疼痛評価により、ウシラクトフェリンの疼痛予防作用が判明すれば、帯状庖疹後神経痛への移行防止について新知見が期待される。 以上のように、ラクトフェリン錠果(食品)摂取により帯状庖疹痛の軽減、帯状庖疹後神経移行予防の可能性が確認できれば、新たな研究への萌芽的な機能を十分に果たせると考える。
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