研究課題
筋組織の処理法については、切除した筋組織を処理中に組織の形状が変化しないように竹串を細く切ったものに固定し、ドライアイスで凍結することで筋細胞を殺しSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)溶液内にいれたままマイクロウェーブをかけて処理した。この際にSDSは3%、この一連の処理の回数は10回行ったものが電子顕微鏡などを用いた組織検査を行ったところ最良の方法であった。処理された筋組織を緩衝液内でよく洗う際にもマイクロウェーブをかけたほうが効率よくSDSを除去することができた。以上のような処理法を用いることにより約100分間で利用可能な筋組織を用いた神経再生用デバイスを作成することができるようになった。この処理した筋組織を再生用デバイスとしてラット坐骨神経のギャップに埋め込んだ。ラットはネンブタール麻酔下におき坐骨神経を1cm切除し、8-0 prolene(青)を用いて顕微鏡下に近位側、遠位側をそれぞれ出来る限り2針づつ縫合し固定した。また、コントロールとして坐骨神経を1cm切除するだけのものも作成した。その結果、コントロールは2週,4週、2ヶ月、3ヶ月でも肉眼的に何の索状物も神経のギャップにはできていなかったが、処理した筋組織を埋め込んだ場合は2ヶ月で神経組織と思われる索状物が肉眼的に確認できた。その組織を採取しトルイジンブルーで染色したところ、神経組織であろうものが確認できたが断言できないため、今後免疫染色を用いて神経組織であることの確認と2週、4週でどこまで再生が完了しているかを確認していく予定である。