研究課題/領域番号 |
15659402
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
池田 勝久 順天堂大学, 医学部, 教授 (70159614)
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研究分担者 |
芳川 洋 順天堂大学, 医学部, 助教授 (50133327)
大隈 典子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00220343)
美野輪 治 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター, 主任研究員 (00181967)
榎本 冬彦 順天堂大学, 医学部, 講師 (00281361)
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キーワード | GJB2遺伝子 / 先天性難聴 / 聴性脳幹反応 / 動物モデル / コルチ器 |
研究概要 |
先天性難聴の原因として、GJB2遺伝子変異が重要であることはよく知られている。ヒトでの解析には限界があるので、動物モデルでの解析が検討されている。Cre recombinase存在下でgjb2遺伝子翻訳領域が切り取られるようなコンストラクトを作成し、ES細胞に相同組換えにより導入した。ネオマイシンによる選別を行いサザンブロット法により組替え体を同定した。ES細胞をB6マウスの胚盤胞へ注入してキメラマウスを作製した。続いてB6マウスと戻し交配を行いF1マウスを得た。Cre recombinaseを持つトランスジェニックマウスと交配させ、遺伝子欠失マウスを同定し解析に供した。聴性脳幹反応で聴力閾値を測定し、内耳を採取、パラフィンまたはエポンに包埋した。パラフィンに包埋したサンプルをヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色、免疫組織染色で解析した。Gjb2欠失マウスでは最大100dBのクリック音刺激でも脳幹反応を得ることができなかった。一方、野生型ではI-V波の明瞭な聴性脳幹反応を認め、閾値は30dB以下であった。欠失マウスではspiral limbusの線維細胞の減少が認められた。またコルチ器の構造がやや虚脱している所見が得られ、優性的阻害効果のあるgjb2変異マウスに類似した。血管条、ラセン靱帯の線維細胞、ラセン神経節細胞、ライスネル膜、蓋膜などは両者に明らかな違いは認めなかった。 聴性脳幹反応による聴力検査では変異体では極めて高度な難聴像を示した。今回作製したマウスはヒトのGJB2の異常による言語習得前の高度難聴と極めて類似した表現型を示すことが判明し、ヒトGJB2遺伝子変異による難聴のマウスモデルとなることが示唆された。
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