研究課題/領域番号 |
15659411
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西脇 弘一 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303841)
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研究分担者 |
原 邦彦 株式会社トプコン, 医用機器事業部, 研究員
高木 均 京都大学, 医学研究科, 講師 (70283596)
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
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キーワード | 温度感受性リポソーム / レーザー / 血管造影 / 脈絡膜毛細血管 |
研究概要 |
蛍光色素であるカルボキシフルオレセインを内包した温度感受性リポソームを、freeze&thaw法で作成した。リポソーム作成に用いるリン脂質の主成分は相転移温度41度のDPPCを用い、エクストルーダーでリポソームの粒径を200nmに揃えた。トプコン社の協力を得て、眼底を暖めて温度感受性リポソームを放出させる温熱用ダイオードレーザーと放出された蛍光色素を観察するための励起用アルゴンレーザーを現有する光凝固用の細隙灯に組み込んだ。レーザー細隙灯にCCDカメラおよび画像エンハンサーを接続して、得られた画像をデジタル化して録画し、デジタル画像をその後コンピューターで解析できるシステムを作成した。温度感受性リポソームをサルに静注後、改良型レーザー細隙灯を用いて選択的脈絡膜血管造影を行うことに成功した。ダイオードレーザーの持続照射により3相(Filling, Ploteau, Draining)の脈絡膜毛細血管像が観察された。Ploteau相においては脈絡膜毛細血管の葉(lobe)が造影され、レーザーが同じ部位に照射されている間その領域は拡大も縮小もしなかった。このことから脈絡膜毛細血管が葉(lobe)という独立した機能的領域に分割され、それぞれの葉が正常下では互いに交通がないことが分かった。またサルの脈絡膜毛細血管の部位による循環像の違いを示すことができた。後極部においてのみ、FiUing相とPlateau相で多数の小葉(lobule)構造が葉(lobe)内に見られ、各小葉は中心部から充填され周辺部から流出するパターンが見られた。周辺部においては、脈絡膜毛細血管だけでなく脈絡膜の大血管像が見られた。これらの結果から周辺部に比べ後極部の脈絡毛細血管の方がより効率の良い循環システムを持つことが示唆された。本造影法は脈絡膜循環のin vivo評価に有用と考えられる。
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