研究課題/領域番号 |
15659428
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
黒田 泰弘 香川大学, 医学部附属病院, 助教授 (80234615)
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研究分担者 |
大下 修造 徳島大学, 医学部, 教授 (60144945)
富山 芳信 徳島大学, 医学部, 講師 (30243702)
木内 陽介 徳島大学, 工学部, 教授 (80035807)
芥川 正武 徳島大学, 医学部, 助手 (90294727)
永廣 信治 徳島大学, 医学部, 教授 (60145315)
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キーワード | 経頭蓋脳血流ドップラ / 脳血流の自己調節 / 重症脳障害 |
研究概要 |
昨年度に引き続き臨床検討においては、成人重症脳障害患者5人(B群:頭部外傷2、クモ膜下出血1、蘇生後脳症2)および非脳障害患者6人(NB群:呼吸不全2、心不全4)を対象とした。人工呼吸中の非動化された状態において、橈骨動脈の直接圧波形および経頭蓋超音波ドプラ法を用いた(障害側)中大脳動脈血流速度波形の連続モニタリングを定常状態で10分間行った。それぞれの波形はデジタル変換してPCに取込み解析した。 1 動的脳血流自己調節におけるAaslidらの理論では、外的に急激な血圧変動に対する脳血流速度の変動から計算されたdCVRおよびdRORは脳血流自己調節の指標となる。本検討では、1心拍毎の脳血管抵抗の変動率dCVRおよびdCVRをその脈圧で除した値dRORを計算した。dCVRは10.5±15.3(B群)、24.3±30.5(NB群)、dRORは5.3±4.2(B群)、23.6±33.6(NB群)であった(平均±標準偏差)。これより脳障害群では、血圧変動に対する脳血管抵抗の変化量が少ない傾向が解った。外的に血圧を変動させなくても1心拍毎のdCVRおよびdCVRを計算することにより脳血流の自己調節能の障害度の差を検出できる可能性はある。しかし、今回の検討では、症例による値のばらつきは大きく、これは臨床病態および重症度に相違があるためと考えられ、今後の検討を必要とする。 2 時間進み系の伝達関数モデルを当てはめた解析では、パラメータ解析の結果、脳障害群では血圧の変動に対する中大脳動脈血流速度の変動の反応性が低下している、つまり「もどり」が遅いことが判明した。これは脳障害群では急激な血圧変動に脳血管抵抗の変化がついてゆけないことによると考えられ、1の結果と一致する。
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