研究概要 |
1,マウス臼歯歯歴のヘルトビッヒ上皮鞘(HERS)細胞の成長に伴う増殖とその変化を確認するために生後5、10、15、20日のマウスにおいて腹腔内にBrdUを投与し、経時的にマウスから下顎第一臼歯歯胚を摘出・固定し、HERS細胞へのBrdU取込み数の変化を内エナメル上皮(IEE),外エナメル上皮(OEE)、HERS全体について調べた。HERS形成直前の生後5日BrdU投与2時間後におけるIEE細胞のMitotic Index (MI)は生後10-20日のMIより高い直を示した。一方生後5日齢のIEEとOEEのMIの差はIEEがOEEに比べ高いのに対して、その他の時期ではOEEのほうが高い直を示した。生後5日齢のOEEも投与後3日までに緩やかに増加した。 2,IGF-I歯胚において,細胞増殖因子として知られている。生後の臼歯歯胚においてIGF-Iリセプターの局在を免疫組織化学的に検索したところ、生後0-3日では陰性反応であったが、生後5日齢以降、陽性反応が見られることが分かった。 3,局所的に外因性因子をデリバリーするヘパリンbeadsをHERS付近に置き生後5日齢の臼歯を4日間器官培養したところ、IGF-I投与群は対照群に比べヘルトビッヒ上皮鞘細胞のMIが高い値を示した。さらにIEE とOEEのMI値を比較するとOEEの方がより高い値を示した。 歯根形成期開始期のHERS細胞は、他の時期に比べ細胞増殖が活発で、かつIEEとOEEの細胞動態には違いがある、すなわちOEEの細胞増殖(MI)がIEEより高い値を示すこと、またこの増殖活性にはIGF-Iが関係していることが示唆された。
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