研究課題/領域番号 |
15659443
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中西 徹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30243463)
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研究分担者 |
滝川 正春 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20112063)
田中 紀章 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10127566)
大山 和美 岡山大学, 歯学部, 教務員 (00253021)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / テロメラーゼ / DNAチップ / 発現プロファイル / 脂肪細胞 / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / 再生治療 |
研究概要 |
(1)ヒトテロメラーゼ遺伝子をヒト間葉系幹細胞に導入して連続培養可能な細胞を作製するとともに、この細胞のクローニングを行い、ヒト間葉系幹細胞のクローンを樹立した。この各クローンからRNAを抽出しcDNAプローブを作製してDNAチップへハイブリダイズさせた。その結果を解析、整理して、各クローンについて約1000個の遺伝子に関する遺伝子発現プロファイルを作成した。また同時にフローサイトメーターを用いて各クローンの細胞表面抗原の解析を行い、さらに細胞増殖試験によって各クローンの増殖能(DNA合成能)を判定した。 (2)上記各クローンについて、間葉系幹細胞に特徴的な脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞各々への分化能力を判定するために、各々への分化誘導剤を含む分化誘導培地にて培養を行って、マーカー染色等によってその分化の有無を判定した。 (3)上記(1)の結果、各クローン間には表面抗原の発現、増殖能においてばらつきがあることがわかった。さらに遺伝子発現プロファイル作成の結果、各クローンは間葉系幹細胞に特徴的な発現パターンを有していたが、その中でも非常に遺伝子発現が亢進しているグループとそうでないグループが存在した。分化誘導試験の結果、ほとんどのクローンは脂肪細胞以外の系統への強い分化能を有さなかったが、最も遺伝子発現の亢進しているクローン(12番)のみが骨芽細胞および軟骨細胞への分化能力を有していた。またこのクローンを骨芽細胞に分化させてサルの骨欠損部分に移植すると骨の再生が観察された。以上のことから、間葉系幹細胞は様々な分化程度の細胞を含むヘテロな細胞集団であること、この中で比較的分化が進み遺伝子発現が上昇している細胞は多分化能を有しており、この細胞群が再生治療に有用であることがわかった。これらの細胞群はin vivoで実際に再生能力を有していることも今回確認された。さらにこれらの幹細胞で発現する数種の再生関連因子について硬組織における作用を調べた。
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