研究課題/領域番号 |
15659447
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
向後 隆男 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80001949)
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研究分担者 |
飯塚 正 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (80168062)
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (20162802)
中村 太保 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70124774)
高橋 茂 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70241338)
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キーワード | カーボンナノチューブ / カーボンナノファイバー / 生体反応 / 生体内の動態 |
研究概要 |
本研究においてはホルモンレセプターのX線的解析へのナノ微粒子の応用の可能性を想定したものであるが、本年度においてはナノチューブ(CNT)およびナノファイバー(CNF)などのナノ微粒子に対するin vivoでの組織反応を検索するとともに、細胞培養担体としての可能性を検討するためin vitroにおける反応を検索した。材料として、多層カーボンナノチューブ(NanoLab社製、純度80およびカーボンナノファイバー(化学蒸着法により合成し、酸処理にて触媒金属を除去したもの)を用いた。なお、CNTの固体化には、結合材を含まないもの、結合材としてphenol resinあるいはpolycarbosilaneを用いたものを作製した。 in vivoにおいては、皮下組織に埋人1週および4週後に,CNFおよびCNT周囲の組織について光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いて観察した.in vitroにおいては,ヒト骨肉腫由来の骨芽細胞様細胞Saos2を用いて多層カーボンナノチューブを吸着させた膜上で培養し、培養3日、10日、20日後にSEMにて観察した。in vivoにおいて、いずれの材料も壊死などの強い炎症反応は生じなかったが,カーボンナノファイバーは、マクロファージ(異物巨細胞を含む)に貧食されることが多かったのに対し多層カーボンナノチューブは、貧食されたものはほとんど認められなかった。結合材を用いた場合、その濃度に応じた炎症反応がみられた。in vitroにおいては、多層カーボンナノチューブを吸着させた膜上で培養した場合のほうが、骨芽細胞様細胞の増殖は速いこと、細胞の増殖は基盤となる膜の性状に影響を受けることおよび細胞と多層カーボンナノチューブは強固に結合していることが示された。以上の結果から、ナノ微粒子の生体適合性が示され、生体への応用の可能性が示唆された。
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