研究課題
本研究の目的は、細胞内ミトコンドリア発生スーパーオキサイドの検出法を世界に先駆けて開発することである。活性酸素の検出には電子スピン共鳴法(ESR)を用いる。今までのESR装置ではミトコンドリア内発生スーパーオキサイドの検出は検出限界以下であり、申請者も試みたが成功しなかった。最近このESR装置の感度をおよそ100倍以上高くする装置(RRX-1X)が開発され、当教室に世界2号機を購入した。本研究ではこの装置を用いた。本年度は、平成15年度の結果を踏まえ、継続して当教室で保有のヒト培養細胞(ヒト骨芽細胞腫細胞;143B)に照射(0〜15Gy)後のミトコンドリア発生スーパーオキサイドのESR装置(RRX-1X)を用い半定量的検出を試みた。スピントラップ剤には、5,5-Dimethyl-1-pyrroline N-oxide(DMPO)が最も一般に使用されているヒドロキシラジカルを捕獲するスピントラッピング剤である。最終0.69mM濃度でDMPOを使用し、照射2時間後の細胞内活性酸素発生検出を試みたが、検出されなかった。一方、スーパーオキサイドに対し感受性の優れる5-Diethoxyphosphoryl-5-methyl-1-pyrroline-N-Oxide(DEPMPO)を使用(最終濃度10mM)し、同様に照射2時間後の活性酸素検出を試みたが、やはり検出されなかった。しかし、細胞内、スーパーオキサイドを除去する酵素である、スーパーオキサイドディスムターゼ(MnSOD)に対するRNAiを作成し、トランスフェクトさせた場合のみ、スーパーオキサイドのシグナルが観察された。これにより、ミトコンドリア由来のスーパーオキサイド検出が見られた。しかし、感度の面で、スーパーオキサイド発生を増大させないと見られないことも分かった。
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