研究概要 |
海洋性接着タシパク質(ペプチド)の性質を調べるために各種の実験を行い、以下のような結果を得た。 1.ムラサキガイの合成ペプチドを準備し、蒸留水に溶解して1%の濃度にしてガラス上で風乾したところ。ゲル状ではなく、硬質に硬化した。 2.1%のペプチド溶液をガラス上で硬化させた後、蒸留水に浸したところ、全て溶解し水溶性であることが認められた。海洋性ペプチドば酸化酵素で凝集し不溶化するとの報告があるため、ペプチド溶液にチロシナーゼを加えて5分間の反応後風乾したところ、蒸留水への溶解が半分に抑えられ、水に不溶化することが認められた。 3.ペプチドの接着性質を検討するために、ガラス、歯牙、光重合後のレジン、硬化後のセメントを準備し接着実験を行ったところ、ガラスや歯牙に対し、重合後のレジンは接着したが、硬化後のセメントは全く接着しなかった。 4.歯牙表面に1%ペプチドを塗布し乾燥して,その表面性状を電子顕微鏡にて観察したところ,ペプチドが凝縮し一層の膜状になっていることが観察された. 以上の結果から、海洋性ペプチドは乾燥により硬化し接着性質を示すが,物理的な接着ではなく,他の接着機構が関与していることが示唆された。
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