1.実験系の確立:測定精度の向上 実験方法 刺激電極は、電気刺激装置(バイオリサーチ社製刺激アイソレーターML180)で、テフロンコート・プラチナ(99.9%)線にて特注した2点式刺激電極を、Range:200Hz、Frequency:1Hz、Pulse duration:2560μV、Amplitude:1.6mAにて、舌尖を刺激した。 EMG電極は、双極電極を用い、正極は手掌に、負極は手背に、アースは額とした。記録は、Range:200μV、High Pass:10Hz、Low Pass:50Hz、60Hz notch:on、Main Filter:onで測定した。測定は座位にて安静にしてもらい、左手は椅子の肘掛けの上にのせ、測定中は腕や手を動かさないように指導した。 実験結果 安静時に、机などの導電体が被験者の皮膚に触れると、測定記録にノイズが入ることが確認されたため、測定中に導電体には触れないよう注意した。また、刺激電極を電位をかけない状態で舌に触れさせると、左手掌にFrequency(平均):40Hz、最大-最小振幅(平均):16.46μVの表面電位が観察された。同様に舌の電気刺激時には、左手掌にFrequency(平均):40Hz、最大-最小振幅(平均):18.98μVの表面電位が観察された。 考察 今回観察された波形は、再現性があり、刺激電極が舌に触れた時点で発生し、約0.4秒で消失し、その後に電気刺激を加えても、波形に変化は認められなかった。また、電気刺激の有無でこれらの波形に有意差は認められなかった。そのため、今回の波形は刺激電極が舌に触れた瞬間に体の伝導率が変化しているために生じているものと考えられる。また、今回の実験は健常者のみを対象としていたため、今後、金属アレルギー患者にて実験を試み、波形に違いが観察されるか検討していく予定である。
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