実験方法 約40℃のお湯に手を10分間浸し、汗と一緒に排泄される金属を分析した。 被験者は健常成人男性4名で、超純水1lをホットスターラーにて40℃に加熱し、その中に被験者の手を手首まで浸して、汗を採取した。排泄された金属の種類を分析するために、まず、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)にて定性分析を行った。 結果 4名の被験者全ての汗から検出された金属元素は、マグネシウム、亜鉛、モリブデンで、4名中3名から検出された金属元素は、ニッケル、白金であった。マンガンと銅は4名中1名から検出された。以上の7つの元素は、手の汗から排泄されている可能性が高いと思われる。また、定性分析では確定できないが、手の汗から排泄されている可能性がある金属元素として、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、インジウム、スズ、イリジウム、金、水銀、鉛が検出された。今回検出できなかった金属元素はパラジウムと銀であった。 考察 今回の実験で、汗と一緒に金属元素が排泄されていることがわかった。 マグネシウムは4名の被験者全てから約1ppm検出されているが、亜鉛とモリブデンは0.2ppmから4.3ppmまで個人差が大きかった。 ニッケル、白金、マンガン、銅は、汗から排泄されるかどうかですでに個体差が生じているようだ。 ほぼ全ての金属が、過剰に摂取、吸収された場合、汗により排泄されている可能性があり、その過程で皮膚に接触し、接触性皮膚炎を引き起こすことがあり得ると考えられる。 今後、データ収集により、一般的な汗から排泄される金属元素の種類、量を特定していき、最終的には金属アレルギー患者へ応用していく予定である。
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