研究概要 |
目的:この研究でわれわれは口腔粘膜由来悪性黒色腫細胞に対するinterferon-gamma(IFN-γ;imunomax【○!R】-γ)とanti-Fas antibodyとの併用効果、およびbcl-2 family蛋白発現との関係について検討した. 材料と方法:6種類の悪性黒色腫細胞を用いた(MMN9,PMP,MAA,HMG,C32,and G-361)。IFN-γは100JRU/ml、抗Fas抗体(CH-11)は100ng/mlとし、作用48時間後にMTT assayで生細胞率を検出した。IFN-γ-によって誘導されるFas抗原はflow cytometry(FCM)で、bcl-2 familyの発現はWestern blotting(WB)で検出した。また、MMN9細胞をヌードマウスに移植、累代株を樹立、in vivoでの抗腫瘍効果の検討を行った。 結果:IFN-γは有為にFasの発現をMMN9、PMP細胞で増加させていた。これらの細胞におけるIFN-γと抗Fas抗体との併用抗腫瘍効果は相乗効果を示し、生細胞率はそれぞれ、31.1%、64%であった。この効果はアポトーシスであり、bcl-2の断片化とbakの発現増加が見られた。また、ヌードマウス移植MMN9腫瘍でIFN-γと抗Fas抗体との併用により48.4%の抗腫瘍効果を認めた。 考察:IFN-γにより誘導される抗Fas抗原はFas仲介性アポトーシスを増加させ、bcl-2の断片化とbakの発現増加を引き起こす。In vivoにおいても有為の抗腫瘍効果が見られた。以上の結果より、IFN-γと抗Fas抗体との併用療法は新規の抗癌療法になり得ると考えられた。
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