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2003 年度 実績報告書

口腔粘膜疾患の新たな発症機序「T細胞マイクロキメリズム」の検討

研究課題

研究課題/領域番号 15659482
研究機関九州大学

研究代表者

中村 誠司  九州大学, 大学病院, 講師 (60189040)

研究分担者 白砂 兼光  九州大学, 歯学研究院, 教授 (30093420)
吉田 裕樹  九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (40260715)
キーワード口腔粘膜疾患 / 免疫 / T細胞 / マイクロキメリズム / 移植片対宿主病 / 妊娠 / 口腔扁平苔癬 / シェーグレン症候群
研究概要

シェーグレン症候群(SS)と口腔扁平苔癬(OLP)はともに未だに原因不明の難治性疾患であるが、SSとOLPに極めて類似した病態が同種骨髄移植後の移植片対宿主病(GVHD)にみられることが判ってきた。一方、妊娠中に母体に移行した胎児のT細胞が出産後も長期にわたり母体内に存続するマイクロキメリズムという状態が起こり得ることも明らかになった。こT細胞のマイクロキメリズムは、子供に母親由来のT細胞が生着しても起こり、さらには輸血後にも生じると考えられ、いずれにしても宿主においてGVHDを引き起こす可能性がある。これらの知見に加え、SSもOLPも女性に好発し、出産後の発症が多く、C型肝炎ウイルス感染との関連が報告されていることなどを併せて考えたところ、T細胞マイクロキメリズムによってGVHDに類似した両疾患の発症が惹起されるという仮説の着想に至った。本研究の目的は、SSとOLPの病変局所に浸潤するT細胞を分子生物学的に解析し、宿主由来ではないT細胞の存在を見い出し、T細胞マイクロキメリズムによってGVHDに類似した両疾患の発症が惹起されるという仮説を証明することにある。今年度に得られた研究実績は以下のとおりである。
1.nested PCR法によるマイクロキメリズムの検出
検索材料としては、男児出産歴のある39例のSS患者と15例のOLP患者の末梢血単核球および病変局所の生検組織を用い、抽出したDNAからnested polymerase chain reaction(PCR)法によりY染色体に特異的な塩基配列部分を増幅し、PCR産物をサザンブロット解析することによりY染色体陽性細胞を検出した。39例のSS患者と25例のOLP患者における検討では、末梢血では全例で検出できなかったが、SSでは25例(32%)、OLPでは4例(27%)で検出できた。
2.FISH法による宿主由来ではない細胞の分布解析
前述の研究でY染色体陽性細胞が検出できた患者については、生検組織の凍結切片を作製し、Y染色体に特異的なプローブを用いたfluorescence in situ hybridization(FISH)法によりY染色体陽性細胞の頻度や病変内分布を検索した。2例の男児出産歴のあるSS患者での解析では、1000分の1の頻度でY染色体陽性細胞が検出された。現在はOLP患者において同様の研究を行っているところである。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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