リンパ管内皮細胞の培養系を確立し、口腔扁平上皮癌のリンパ管新生因子につて検討した。 (1)頚部郭清術の手術材料から、患者の承諾書を得た上で、リンパ節を分離しその細胞を分散し培養した。培養細胞にVEGF-C及びVEGF-Dを加え、増殖してくる細胞の継代を繰り返した。また、このようなリンパ節細胞に各種培養口腔扁平上皮癌細胞株の培養上清を加え、増殖してくる細胞の継代を繰り返した。このようにしてリンパ節から、VEGFR3とデスモプラキンをマーカーにして、培養リンパ管内皮細胞の樹立した。また一方、既存の培養リンパ管内皮細胞様細胞を入手し培養した。 (2)培養リンパ管内皮細胞のVEGFR3の発現を免疫染色法、ウエスタンブロット法、PCR法で検出し、既存の血管内皮細胞とその発現量を比較した。この培養リンパ管内皮細胞に各種口腔扁平上皮癌細胞株(10種類)の無血清培養上清を加え、リンパ管内皮細胞のVEGFR3発現亢進をもたらす癌細胞株を検索した。その結果、この癌細胞株はリンパ管新生因子を産生していると考えられた。 (3)用いられた癌細胞株のVEGF-CとVEGF-DおよびVEGF、HGF、FGFの発現量をELISA法、PCR法およびノーザンプロット法にて比較し、リンパ管新生因子がVEGF-CやVEGF-Dであるか否かを検討した。
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