研究概要 |
SCC抗原作動型PD-1-Ig遺伝子を用いた口腔癌の免疫遺伝子療法の可能性を検討するため、本年度はマウスに化学誘発性口腔癌モデルを作成するとともに、BALB/cマウスcDNAライブラリーを用いてPD-1およびSCC抗原遺伝子のクローニングを試み、次のような成果が得られた。 1 マウス口腔癌モデルの作成 6-12週令のマウス(C57BLJ)に発癌剤である4-NQOあるいはbenzo[a]pyrene(B[a]P)を投与し、経時的に舌組織を採取して病理組織学的に癌化を検討した。その結果、いずれの発癌剤でも投与後6週間で上皮異形成が認められた。しかし、さらに投与を延長しても効率的に発癌させるのが困難であることが判明した。したがって、現在舌尖部を切除した後に発癌剤を投与し、癌化の早期発現につとめている。 2 マウス舌粘膜の癌化過程における細胞周期調節因子の発現変化 この研究の目的である免疫療法の病理組織学的検討以外の評価マーカーとするため、癌化と密接に関連するとされるG1-S移行調節因子の発現変化を検索した。その結果、発癌剤投与6週間後では、BrdU陽性細胞の増加、cycline D1,CDK2,p21の発現増強、Rb燐酸化の亢進E2Fの結合低下が見られた。 3 PD-1およびSCC抗原遺伝子のクローニング 現在、マウスのDNAライブラリーを用いてPD-1およびSCC抗原遺伝子をクローニング中である。
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