介入2病棟の看護職と介護職に昨年度の調査結果を報告し、それを踏まえてグループワークを行った。グループは同じ病棟の看護職・介護職6〜7名で構成し、計7グループが参加した。文献調査の結果に基づき、グループでは、まず、個々の漠然とした理想を、話し合いを通じて共有可能な具体的な目標に転換する作業を行った。 その後、その目標に照らしながら、現在の諸活動の見直し、新しい活動の提案、各職員の役割の再確認を行った。昨年度の調査で患者尊重の組織風土が職員の仕事に対する認識や質の高いケアへの努力に最も影響していたため、作業では患者にとってどうかを考えることを重視した。その後、職員に対する質問紙調査を実施し、昨年度の結果と比較した。両年とも回答した56名中、配置転換のなかった48名を分析対象とした。グループワーク参加者については、看護師では、組織風土のうち、「職員間の相互支援」、「自由裁量の発揮」、「活発な意見表明」の得点が高まり、「看護職-介護職間の不調和」の得点が低下していた。准看護師では「職員間の相互支援」の組織風土得点、及び「日常生活援助の充実」の努力得点が高まっていた。介護職では、「仕事の有意味感」の得点が高まり、「職員間の意見交換」及び「仕事・学習への自己投入」の努力得点が高まっていた。グループワーク非参加者では、看護師で「患者尊重」の組織風土得点が高まり、介護職で「日常生活援助の充実」の努力得点が低下した以外は有意な変化はなかった。以上から、研究結果を踏まえて看護職と介護職が一緒に目標や方策を明確化する作業は、参加者の組織風土の認識や仕事への態度を変化させる可能性が示唆された。今回のグループワークは出発点として目標の共有を主目的としたが、非参加者、さらに患者アウトカムに変化を及ぼすためには、具体的方策の検討やその評価を目的とした次段階の調査とグループワークの実施が必要だと思われる。
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