研究概要 |
研究1.目的:一般総合病院・リハビリテーション病院における地震対策に関する取り組みの実態を明らかにする。 方法:重症患者及び障害者に対する地震発生時の対応等について自記式質問紙を用いて郵送法によるアンケート調査を行った。 結果及び考察:一般総合病院147施設(回収率71.5%),リハビリテーション病院55施設(回収率52.9%)であった。両施設とも約8割の病院で災害マニュアルが作成されており、防災訓練も実施されていた。しかしいずるえも火災想定のものであり、地震災害マニュアル及び訓練報告はなかった。また実施されている訓練内容は、初期消火と避難誘導であったが、一般総合病院における重症患者やリハビリテーション病院における障害に応じた詳細なものはなかった。地震発生時の対応や災害内容は火災災害とは異なることから地震発生時の対応マニュアル及び予想災害への対応を地震災害の観点から検討する必要がある。 以上の結果及び平成15年度の起震実験の結果を踏まえ、患者にある程度自己管理が求められる輸液スタンドに着目し以下の研究を行った。 研究2.目的:揺れによる輸液スタンドへの影響を明らかにする。 方法:4m×4mの起振台上に(1)三脚輸液スタンド,(2)4脚輸液スタンド,(3)5脚輸液スタンド,(4)5脚輸液スタンドに輸液ポンプ設置の4種類の輸液スタンドを設置し、阪神淡路大震災時の揺れを(1)100%として(2)50%,(3)125%,(4)150%,(5)200%に対して、(1)一方向横,(2)一方向縦,(3)2方向,(4)垂直方向の4方向の加振を行う。データは、2方向からのビデオ撮影により動きを収集し、DLT法による動作解析を行い、軌腺を分析する。 結果:スタンド(1)は、約1000ml輸液を下げた状態で、一方向縦×200%加振で転倒する。他の輸液スタンドは転倒しない。輸液スタンド(3)は、いずれの加振でも他の3タイプとは異なる軌腺をつくり導線が長い特徴を示した。またスタンド(4)は輸液ポンプ設置側を軸として回転することが明らかになった。以上の結果から、スタンド(3)は、可動性が重視されているため、導線が長くなったと考えられる。またスタンド(1)は、輸液1000mlを設置することで上部に重量がかかった結果転倒したと考えられる。尚、詳細な動作は現在解析中であり、継続して分析を行い、さらに輸液スタンドの動きによる輸液針刺入部への影響を明らかにしてゆきたい。
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