研究課題/領域番号 |
15659516
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
牧本 清子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80262559)
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研究分担者 |
河村 葉子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30294101)
芦田 信之 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50184164)
泉 キヨ子 金沢大学, 医学部, 教授 (20115207)
許田 志津子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30362693)
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キーワード | 医療事故 / 看護事故 / 調査方法 / インシデント / 看護ケア |
研究概要 |
平成15年度は医療事故と看護事故の書籍と文献の収集を行い、文献のレビューを行った。医療事故の中で与薬に関する調査は多く、調査方法も体系化されているので与薬のみに関する調査は除いた。医療事故に関する実態調査は17件で、医療事故の指標としては、入院患者の死亡、医原性心停止、手術の合併症、退院後の医療の継続性、手術目的で入院した患者の治療、麻酔に関連するインシデント、ケアのレベルの低さに関連した転倒などであった。調査方法としては、前向き(医療記録のレビュー、民族学的な観察法、インシデント報告)と、後ろ向き(医療記録のレビュー、医師へのインタビュー)が用いられていた。標本数は最小47名から最大3万名で、調査期間は最短26目から最長4年間であった。医療事故の有無を判定する者の資格・経験・訓練などの背景については記載のレベルが大きく異なっていた。測定者間の一致率の検証報告も少なかった。医療事故の定義、対象施設、調査方法の相違により発生率の比較は困難であるが、入院患者の3%から9%が医療記録に残るような重度の事故を経験していた。看護事故の調査としては12件の研究があり、看護事故の指標としてはケアの基準からの逸脱と実際に発生した事故に大別された。ケア基準の逸脱はICUにおける看護基準のチェックリストからの逸脱、与薬に関するチェックリストからの逸脱に分類された。実際に発生した事故の分類は知識や経験不足、不注意などにより発生する事故と、看護ケアのレベルの低さ・マンパワー不足を反映したもの(褥創、術後の無気肺・尿路感染など)が挙げられた。観察法や質問紙調査では、インシデントレポートは、発生している事故の1パーセント程度しか報告されていなかった。看護事故の把握には、多様な指標や調査方法を用いることの重要性が示唆された。
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