本研究では、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のために、「ビームモニター」および「γ線テレスコープ」等のオンライン測定系から得られるデータを治療計画システムによる事前評価結果に反映させた「医療照射時下線量評価統合システム」の構築を目的としている。初年度である平成15年度は「ビームモニター部」および「γ線テレスコープ部一系統」の作製および設置を行った。 ビームモニターには多重電離箱を採用し、4種類の電離箱の組合せを用いることとした。電離箱の壁材、ガスの種類について計算によるサーベイおよび特性確評実験を行った。中性子用電離箱については、無発砲ポリウレタンにLiFを35質量%混ぜた壁材を試作した。高速中性子用に対してはLiF中のLiの96%が^6Liのもの、熱外中性子用には40%のもの、熱中性子用には7.5%(天然)のものが適していることが確認された。γ線用については、壁材は高速中性子用のものと同じにし、ガスのみを変えた。ガスについては、熱中性子、熱外中性子用にはN_2ガスあるいは空気、高速中性子用には組織等価ガス(CH_4 64.4%、CO_2 32.5%、N_2 3.1%)、γ線用に対してはCO_2ガスを採用した。 γ線テレスコープについては、母近のBNCTにおける患者体位の多様化および複雑化、ならびに、二つのホウ素化合物BSHおよびBPAの併用開始、という二点を念頭に構築を行っているところである。平成15年度は一系統目の設置を行い、一部、特性確認を行った。テレスコープに付随した患者位置決めシステムについては、臨床現場の要望から、リアルタイムでの患者の動きモニターも兼ねるように拡張した。さらに、位置決めシステムで得られた映像から治療計画等に用いや3Dの患者の体系データを作成するシステムの検討を開始したところである。
|