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2004 年度 実績報告書

アルコールによる発癌の分子メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 15681002
研究機関京都大学

研究代表者

松田 知成  京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (50273488)

キーワードアルコール / アセトアルデヒド / ALDH2 / N^2-ethyl-dG / DNA付加体 / 食道がん / 遺伝子多型
研究概要

飲酒は食道がんのリスク要因である。アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)は、アセトアルデヒドを酢酸に酸化するもっとも重要な酵素である。ALDH2の遺伝子多型は食道がんのリスクと強い相関がある。これらのことから、アセトアルデヒドが飲酒による発癌の究極発癌物質であるとされている。アセトアルデヒドは、N^2-ethyl-dGやcrotonaldehyde-derived propanodeoxyguanosine (CdG)などのDNA損傷を引き起こす。そこで、人間の血液中のDNAを材料にして、DNA損傷とアルコールの摂取、さらにALDH2の遺伝子多型について解析を行った。ALDH2の遺伝子多型はPCR-RFLPで確認した。ALDH2^*1/2^*1(正常),ALDH2^*1/2^*2(ヘテロ欠損) and ALDH2^*2/2^*2(ホモ欠損)の3タイプに分類した。75名の健常人(ALDH2^*1/2^*1 25人,ALDH2^*1/2^*2 33人,ALDH2^*2/2^*2 17人)と112人のアルコール依存症患者(ALDH2^*1/2^*1及びALDH2^*1/2^*2 56人づつ)の血液を解析した。DNA損傷はLC/MS/MSを用いて測定した。アルコール依存症患者の血液DNA中のN^2-ethyl-dGとCdGのレベルは7.5±6.9 and 99±88 adducts per 10^8 bases,であり、これは健常人に比較して有意に高かった(4.2±6.0 and 15±24 adducts per 10^8 bases)。このことから、血中DNAのアセトアルデヒド誘発DNA損傷レベルは、アルコール摂取量の増加にともない、増加するということがわかった。しかしながら、これらのDNA損傷のレベルはALDH2遺伝子多型とは相関が見られなかった。今後は、アルコールの発癌標的臓器である食道組織について同様の解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] DNA付加体の分析方法-LC/ESI/MS/MSはポストラベルを越えたか?2004

    • 著者名/発表者名
      松田知成
    • 雑誌名

      環境変異原研究,26,199-201,2004 26

      ページ: 199-201

  • [雑誌論文] Translesion Synthesis past 2'-Deoxyxanthosine, a Nitric Oxide-derived DNA Adduct by Mammalian DNA Polymerases2004

    • 著者名/発表者名
      M.Yasui, N.Suzuki, H.Miller, T.Matsuda, S.Matsui, S.Shibutani
    • 雑誌名

      J.Mol.Biol 344

      ページ: 665-674

  • [雑誌論文] Comparison of Gene Expression Patterns between 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin and a Natural Arylhydrocarbon Receptor Ligand Indirubin2004

    • 著者名/発表者名
      J.Adachi, Y.Mori, S.Matsui, T.Matsuda
    • 雑誌名

      Toxicol.Sci. 80

      ページ: 161-169

  • [図書] 京大人気講義シリーズ 地球環境学のすすめ 第6章2004

    • 著者名/発表者名
      松田知成(分担執筆)
    • 総ページ数
      14
    • 出版者
      丸善株式

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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