研究課題
前年度の研究で、電析により作製した酸化亜鉛/色素ハイブリッド薄膜を一旦希アルカリ洗浄し、色素を除去した後、再度色素を吸着することで、著しい光電極機能の向上が見られたが、この一連の処理に伴う膜の微構造変化を調べると、電析直後の膜は多孔質では無く、アルカリ洗浄によって均一なナノ多孔質へと変化していることが明らかとなった。エオシンYをテンプレート分子として作製した複合膜は結晶c軸が基板に垂直に配向した高結晶性膜であるが、膜を構成するのは太さ5-10ナノメートル程度のワイヤー状酸化亜鉛で、これらが相互に規則的に連結して、巨視的には数マイクロメートルサイズの酸化亜鉛結晶を形成していることが分かった。一方浴中に添加する色素にクマリン343を用いると、ナノシート状の酸化亜鉛が相互に繋がったポーラス結晶が得られ、c軸を基板と並行とする様に配向性が90度変化することが分かった。自己組織化過程に於いて、酸化亜鉛の結晶成長に対して色素分子が決定的な緑割を果たしていることが明らかとなった。機能評価については主に色素増感型太陽電池への応用に関して大幅な機能向上を見た。多孔質酸化チタン光電極との組み合わせで優れるRu錯体は酸化亜鉛を溶解する性質のために好ましくないが、新たに三菱製紙社製のインドリン系有機色素を用いたところ、6.0%の極めて高い変換効率を達成することに成功した。このほか、得られた酸化亜鉛薄膜について光センシング機能、フォトクロミック/エレクトロクロミック機能、蓄電作用、フォトルミネッセンス機能などを確認している。
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