研究概要 |
個々が機能単位である金属ナノ粒子をBottom-up architectureで組織化することにより、量子サイズ効果を利用した低消費電力・低発熱のナノ電子デバイス(単電子メモリ、トランジスタ)を構築することができる。さらに、金属ナノ粒子の二次元組織化技術は、Tbits/inch^2級の超高密度磁気記録媒体の創製にも極めて有用である。本年度はまず、有機配位子間の弱い相互作用を利用することにより、種々の対称性(三回・四回・六回対称)を持つ超微細Auナノ粒子二次元超格子の創製を行った。また、高い一軸結晶自記異方性および保磁力を有するFePtナノ粒子の新規合成法を開発し、その自己組織化二次元超格子における熱処理前後の結晶構造ならびに磁気特性変化について検討した。 Auナノ粒子二次元超格子の対称性制御に関し、塩基性配位子であるbis-4,4'-(4,4'-dithiobutyl benzyl)-N,N,N',N'-tetraethyl amineを合成し、Auナノ粒子の保護配位子として用いたところ、2.4±0.2nmの超単分散Auナノ粒子が得られた。この塩基性Auナノ粒子にベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸あるいは酢酸を添加し中和後、親水性基板に水溶液として展開することにより、三回対称疑似ハニカムあるいは四回対称正方晶二次元超格子を形成させることに成功した。 次に、磁性ナノ粒子であるFePtナノ粒子の合成を、ジオクチルエーテル中オレイン酸、オレイルアミン存在下、鉄アセチルアセトナートおよび白金アセチルアセトナートのポリオール還元により行った。前駆体比を変化させることで、Fe含有量を容易に組成制御可能な単分散FePtナノ粒子(粒径〜3.1nm)が得られた。これらFePtナノ粒子は自己組織化により、アモルファス炭素基板上で超格子構造を形成し、Fe含有量39〜64atomic%の範囲で熱処理によるfccからL1_0への結晶構造変化や磁気特性変化を確認した。
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