研究概要 |
第15年度に実施した研究の概要を以下に列挙する。 ・本研究で提案する解析手法の妥当性を確認するためのテストフィールドを選定した。本研究では,非均一場を取り扱うことを考慮し,地域内で基盤構造の変化がある程度予想され,かつ地震の発生の可能性が高い地域として,滋賀県浅井郡周辺(琵琶湖東岸)を選んだ。約100年前にこの地域を震源とする姉川地震が発生しており,その際の被害分布に著しい非均一性が観察されたことが知られている,という点も選定理由の一つである。なぜなら,これは,対象地域での地震波動場が本研究において対象にしようとしている非均一場を構成している,という客観的な事実を示すものと考えられるからである。 ・地震観測設備を上記地域に2ヶ所設置し,観測を開始した。1ヶ所は基盤岩が露出している場所,もう1ヶ所は堆積層上で,姉川地震の際に鐘楼が約1mも飛んだことが知られている寺の境内である。 ・対象地域の基盤構造の調査を行った。今年度は,重力による詳細な探査を実施し,基盤岩構造の推定とモデル化を行った。 ・微動の3成分アレー観測記録を用いてRayleigh波だけでなくLove波の位相速度を推定するための既往の手法における理論的問題点を指摘した上で,より一般的な形での定式化を示し,これらの表面波の位相速度を観測記録から推定可能であることを理論的に示した。 ・波動場の最大値を考慮するための理論の基礎的検討を行った。
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