公会計に関する議論の進展をふまえて、公用クレジットカードの研究に先立って、公会計一般の研究を行った。その成果は、大きく分けて3つに分類できる。 (1)財政法の基礎理論研究 フランス財政法の基礎理論を、憲法・行政法をはじめとした公法理論、財政学・経済思想との関係に留意しながら分析した著書として、『財政法理論の展開とその環境』を公刊した。これは、以下の研究の基礎にもなっている。 (2)フランス法研究 フランスの財政法学史に関する研究を総括した(日仏法学掲載予定論文)のに加え、政策評価をはじめとした最近のフランスの議論や制度改革の動向をフォローした(季刊行政管理研究掲載論文、内山忠明ほか編所収論文など)。このほか、フランス人研究者による政策評価についての講演翻訳も手がけた(自治研究80巻2号参照)。 (3)日本における改革論 以上の研究成果をもとに(あるいはそれと並行させながら)、日本の予算会計改革に関する諸問題を考察した。この研究実績は2つに大別され、ひとつは、複数年度予算の導入に向けた研究として、予算単年度主義と会計年度独立の原則の規範的意義を論じたもので、両原則の憲法規範性の問題を中心に考察した(雑誌地方自治掲載論文)。いまひとつは、広く成果主義に関する諸問題を論じたもので、現金主義的会計の改革、発生主義的会計の導入可能性などについて検討した(自治研究掲載論文、会計検査研究掲載論文)。特に後者は、昨年度の財政統制に関する序論的研究(その主たる成果として自治研究79巻2号・3号掲載論文)を発展させたものである。
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