(1)予算会計改革 フランスでは、2001年8月1日財政基本法律に基づく予算会計改革が進行中であり、その施行作業の分析をもとにして、日本法の諸問題について、決算制度を中心として、ほぼ網羅的に立法論・解釈論を展開した(後掲・財政法講座所収論文)。 (2)公物法やガバナンス論への展開 公会計論の一環として、平成16年度までに成果主義的な行財政制度の考察を行ったのをうけて、今年度は、これを物的財産に関する公物法理論やパブリック・ガバナンス論に発展させた。具体的には、特別会計制度等との関係を考慮しながら、港湾の公物上の位置づけを論じたもの(後掲・千葉大学法学論集20巻2号掲載論文)、同じく港湾管理を素材にしつつ、国有財産の管理委託に関して考察したもの(同じく20巻4号掲載論文)を公表している。あわせて、PFIに相当するフランスの新しい法制度の分析・紹介を行った(季刊行政管理研究106号掲載論文)。今後、この観点からの考察を継続していきたいと考えている。 (3)学説史的研究 フランスの古典的な財政法学説のうち、特にオーリウとジェズの理論に注目して、昨年度までの研究を補充する論考を公表した(後掲・千葉大学論集20巻1号掲載論文)。現在の予算会計改革の位置づけを考えるうえでも、有益な作業であった。 (4)その他の公表論文・公表予定論文 以上に関連して、環境財政の日仏比較に関する仏語論文を公表した(千葉大学法学論集20巻3号23-36頁)。また、フランスの港湾制度に関する論考も、継続的に発表した(雑誌港湾2005年4月号・6月号、青淵10月号・11月号など)。さらに、平成17年3月に開催された日本財政法学会(会場=早稲田大学)における報告原稿を取りまとめており、近日中に同学会の学会誌において公表される予定である。
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