研究概要 |
本年度は雇用政策法制/労働市場法制の統制手法として、アメリカ連邦法の各種金銭サンクションを研究対象に選定し構造分析を開始した。アメリカ連邦法領域では公的規制の実効化を担保する手法として、付加金、行政的課徴金civil penalty、公的機関による損害賠償といった経済的サンクションが複合的に用いられている。これらの執行過程を考察対象に据えて行政庁による金銭サンクションの可能性と法政策遂行上の問題点を調査した。 特に行政的課徴金civil penaltyの執行手続過程に着目し、これを設備備品費の充当によってアメリカ法律情報検索システムを完備した後、行政聴聞に関する裁決例OCAHO CASEに関するプレ調査を実施した。この作業を通じて行政聴聞システムを掌る司法省行政聴聞審判官長室(U.S.Dept. of Law, OCAHO)における裁決法理なるものの一端を知ることができた。行政的課徴金civil penaltyの史的展開および現状の制度運営上の問題点が理解され、整理された結果、後掲欄に記載した論文等の執筆が可能になった。 これらと並行して、消耗品費等の充当によって配備された法情報資料と、国内旅費を充当して他研究機関の便宜供与の下に得られた、日本における雇用政策法制/労働市場法制の立法資料、とりわけ審議会資料等を詳しく収集した。こちらの研究資源を利用して、労働市場における労働条件ルールの当事者確定問題を研究し、これを平成16年度日本労働法学会第107回大会にて発表する予定である。同様に、上記研究資源を利用して、同学会誌に労働市場と解雇ルールの相関を述べた論文を、同学会誌に掲載した。
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