研究課題
昨年度は主として表面照射型CCDにシンチレータを蒸着した検出器を開発した。その結果、分光性能としては22keVで52%、59keVで42%を得た。目標分光性能は60keVで25%であり、まだ目標性能に達していない。そこで我々は、新たに裏面照射型CCDにシンチレータを接着した検出器を開発した。表面照射型CCDと比べて裏面照射型CCDは可視光に対する分光感度特性に優れるという特徴を持つ。我々はシンチレータとしてCsI(Tl)を用いているが、CsI(Tl)の放出光の平均波長は550nmであるが、550nmでの分光感度特性は表面照射型CCDで20%に対して裏面照射型CCDでは90%と4.5倍高い。そのため、シンチレータからの放出光の収集効率が向上し、その結果、検出器の分光性能が向上することが期待できる。我々は裏面照射型CCDとして浜松ホトニクス社のS7170-0909という素子を選択した。この素子の表面に柱状に成長させたCsI(Tl)の板を接着し検出器を製作した。表面照射型CCDを使用した場合には、オンチップでピクセルビニングをしないと個々のX線により生成されるイベントの判別が難しく光子計数できなかったが、裏面照射型CCDでは可視光に対する分光感度特性に優れるため、オンチップでのビニングをせずとも光子計数できることが判った。分光性能としては60keVで目標の25%を達成することに成功した。この結果は学術誌に投稿中である。
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Japanese Journal of Applied Physics 51(印刷中)
Nuclear Instruments and Methods, A. 525
ページ: 122-125
IEEE Transactions Nuclear Science 51
ページ: 2288-2292