研究課題
これまでの2年間の研究期間において、CCDとシンチレータを組み合わせて、広い帯域にわたり、優れた位置分解能を持つX線光子計数検出器(SD-CCD)を開発することができた。本年度は、SD-CCDの応用実験の一環として、気球を用いた実証実験を名古屋大学、宇宙航空研究開発機構と共同で実施した。私は気球搭載のSD-CCDシステムの全般を開発した。気球高度での大気圧を考慮してSD-CCDを安全に冷却するための真空チャンバを開発した。一方気球高度では空気の対流が効かないため、電子回路の放熱が難しい。そのため、低圧環境下で動作させるために電子回路全体を一気圧に保つための与圧容器を開発した。気球上で低い消費電力で動作するための電子回路システムも開発した。気球実験は2005年5月20日に宇宙航空研究開発機構の三陸大気球センタにおいて実施した。気球は放球後90分に予定高度の39kmに到達し、約90分間この高度(レベルフライト)において実験することができた。SD-CCDシステムは放球の60分前から電源を投入し、レベルフライト中正常に動作することが確認できた。レベルフライト時にはSD-CCDを予定動作温度の-50度にすることができ、バックグラウンドレベルの測定をすることができた。これにより、気球を用いて実証実験をすることができた。本課題の成果を踏まえて今後は、ブラジルと国際共同気球実験として、硬X線望遠鏡を搭載した本格的な硬X線撮像観測実験をブラジルにおいて実施する予定である。
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