ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を取り付けて1Kまでの低温での高圧力下電気抵抗測定に使用していた既設の冷凍機にイメージング分光器と冷却CCDカメラを組み込み、可視光領域での顕微分光ができるシステムを作製した。これにより簡便に1K程度までの低温で高圧力下の反射・吸収スペクトルなどが測定できる。第一段階として、室温でクランプしたDACの発生圧力の温度による変化をルビー蛍光を測定することにより連続的に調べ、圧力媒体の選定などと併せてより静水圧性の高い圧力発生を目指したDACの形状や構成材料の選定の目安とする実験を開始した。 一方、強磁性物質であるCeSb_2の高圧下の電気抵抗の温度依存性を測定した。Tcは圧力の増加とともに低下していき3GPa付近で消失しているように見える。低温での電気抵抗のT^2の係数を見積もると、2GPaから3GPaの間で発散する傾向が見られ、2.6GPaでは低温での電気抵抗が温度に対してlinearな依存性を示した。また、同じ圧力領域で残留抵抗が急に小さくなることもわかった。これはいわゆる量子臨界現象であると考えられ、超伝導発現の可能性もある。今後、他のRSb_2系も含め、より低温での測定を進めていく計画である。
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