酸化マグネシウムのような酸化物の電極は、プラズマディスプレイの放電部の低電圧駆動やその電極保護膜等に用いられているように、電極からの2次電子放出係数が通常の金属に比べて、数十倍高いと報告されている。一方、容量結合型高周波放電は無電極放電が可能であるので、必ずしも電極からの2次電子放出を必要とせず、高周波電極シースによるフェルミ加速によって加速された電子による衝突電離作用(α作用)のみで放電維持が可能である。この放電は、簡便なプラズマ発生方式であるが、プラズマ密度が低いことが課題として残されている。本研究では、この放電の維持機構であるα作用に高効率な2次電子放出作用を組み合わせることで、プラズマ密度の高密度化を図ることを目的としている。 平成15年度では、酸化マグネシウム以外の酸化物を用いて、容量結合型放電特性に与える酸化物電極材質の影響を検討した。酸化物電極には、比誘電率を広範囲に変化させるために、酸化銅、酸化マグネシウム、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウムを用いた。放電開始電圧を測定した結果、酸化マグネシウムとチタン酸バリウムの2種類の電極が、他の材質より低下することが分かった。また、放電後のプラズマ密度をラングミュアプローブのイオン飽和電流から見積もった結果、酸化マグネシウムとチタン酸バリウムにおいて、高周波電圧を増加したとき、1桁以上の密度上昇し、10^<10>cm^<-3>を越える高密度が観測された。その他の電極では、緩やかな増加のみで、桁の変化は見られなかった。チタン酸ストロンチウムについては、2次電子放出係数が高いという報告例がないが、本研究で用いた方法において、その証拠となる結果が得られた。
|