研究概要 |
1)生きたマウス個体内におけるタンパク質の核内移行検出プローブを開発した.311アミノ酸からなるrenilla luciferase(RLuc)のN末から229番目で切断すると,splitしたRLucがプロテインスプライシングにより効率よく再構成されることを見出した.このsplit RLucを用いて,androgen receptor(AR)のサイトゾルから核内への移行を検出するプローブを作製した.プローブを発現したCOS-7細胞に男性ホルモン(DHT)を添加した時,DHT濃度に依存してRLucの発光強度が増大することが分かった.このプローブをマウス脳内に移植して,マウス個体内のDHT検出法を開発した.procymidoneやPCBをマウスの腹腔に投与すると,脳内のARの働きが抑制されることを明らかにした(投稿中). 2)細胞内小胞(ER)に移行するタンパク質を同定するプローブ分子を開発した.プローブを連結した被検タンパク質がERに輸送されると,ER内でプロテインスプライシング反応によりGFPが形成されることを示した.更に開発したプローブにcDNAライブラリーから作製した未知のタンパク質を連結し,ER移行タンパク質を網羅解析する手法を開発した.1,100クローンの遺伝子解析を行い,多くの新規ER移行タンパク質の同定に成功した(投稿準備中). 3)エストロゲンとエストロゲンリセプター(ER)との結合とそれに続くDNAとの結合により環境化学物質をスクリーニングする方法を開発した.DNAを固定化したガラススライド上に,大腸菌発現系により調製した黄色蛍光蛋白質(YFP)-ER及びエストロゲンを添加し,エストロゲン依存的にDNAに結合するERの量を蛍光強度により測定した.ビスフェノールA等の環境化学物質を高速スクリーニングできることを示した(Anal.Sci.,19,499(2003)).
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