研究概要 |
本研究は,型材料に石英ガラスを用い、成形材料を石英よりも低軟化点・低融点のガラスを対象とした微細ホットエンボス加工技術の開発を目的とする.線膨張係数の小さい石英ガラスを型材料に用いて熱膨張による誤差を低減し、レーザを利用して型を透過して直接成形材料の加熱を可能とする。目標とする成形品のサイズのオーダをミクロンからサブミクロンに設定し,これを歩留まりよく大量に転写することを試みる. 第2年度である今年は,まず,昨年度構築したUVレーザの熱伝播モデルに基づいた石英ガラスのクラックレス加工方法について検討を行った。これは、UVレーザによる一貫加工を念頭に、石英ガラス型をUVレーザで創成するための基礎技術となる。熱伝播モデルに基づいた石英ガラスのクラック発生機構のシミュレーションモデルを構築し、実験により妥当性を検証した。この結果に基づいて、1パルスあたりの照射エネルギを抑えつつ残留熱によるクラック抑制効果を利用することによってクラックレス加工が可能となった。 型創成技術としてFIB加工技術や遊離砥粒と振動工具を用いた加工法についても検討した。これは上記UVレーザ加工法では加工面粗度が十分ではないことを踏まえ検討したものである。FIBに関しては、直径120μmの円柱型や直径20μmの球面レンズ型の創成に成功した。これらの表面粗度は約3.15nmRaでレンズ用金型としては十分な精度であることを確認した。 型加熱方法として、UVレーザによる加熱方法とキセノンランプによる加熱方法を検討した。UVレーザの場合には数μm程度に、キセノンランプの場合には10mm程度まで集光可能である。加熱対象によって使い分ける必要がある。いずれの場合も、光吸収熱変換のプロセスが必要となる。そのために、型面に特殊な処理を施して光吸収熱変換のプロセスを起こさせる基本的な考え方を構築した。
|