本研究は大気圧プラズマを利用する既存のプラズマCVM装着を用いて行ったが、本年度は研究目的を達成するため、加工装置の改良ならびに水晶の基本的な加工特性を取得する実験を行い、以下の知見を得た。 (1)本研究では、局所的に発生させたプラズマに対して水晶基板を速度制御走査することにより厚み分布を均一化することを目的の一つとしているが、そのためにはワークテーブルの移動に伴う加工特性の変動があってはならない。プラズマCVM装置における加工特性の変動は、装置内の電気的インピーダンスの変動が主たる要因であるため、その抑制のために新たにシールド板を設置した。 (2)本装置においては、加工対象の水晶基板は接地された試料台上に真空チャックにより固定し、ギャップを500μm程度離して高周波印加電極を対向させてプラズマを発生させている。このとき、水晶基板は誘電体であるため、試料台表面の粗さに起因する電界強度のムラがプラズマの強度分布を引き起こし、試料台粗さに対応した加工量ムラが加工面の表面粗さとして転写されてしまうことが分かった。試料台の表面粗さの大きさと加工面粗さの相関を調べた結果、試料台の表面粗さをラップ仕上げにより0.01μm rms程度まで鏡面化すれば加工面粗さに影響しないことを見出した。 (3)水晶基板における面内の加工量分布を均一化するため、加工対象となる基板の周囲に同じ厚さのダミー水晶基板を配置した。その結果、±5%以内の面内加工量分布を得た。
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