研究概要 |
本年度は,毛細血管における変形分散体の単純なモデルしてジャイアントベシクルを考え,実験および数値計算による解析を行なった.実験に関する研究としてジャイアントベシクルの作成と,マイクロチャネル内におけるジャイアントベシクルの変形挙動を計測するためのPIVシステムの構築を行なった.本年度はジャイアントベシクルの存在していない状態下において,マイクロチャネルの流動構造をマイクロPIVシステムで計測し,矩形チャネル内の流速分布の計測結果を数値計算と比較し,計測結果の妥当性を評価した.さらに,チャネル内に流動させるためのジャイアントベシクルの作成を行なった.現段階においてはジャイアントベシクルの作成には成功したが,PIV計測用の蛍光粒子が凝集しないための溶液条件下において,ベシクル安定性が保てず,来年度への検討課題となっている. 数値計算に関しては,分子スケールから連続体スケールまで3種類の異なる計算手法で,脂質二分子膜に関連する計算を行なった.分子スケールでは,分子動力学法により炭素数12,14,16の炭化水素鎖を持つ脂質二分子膜中における分子透過のシミュレーションを,連続体スケールでは,境界適合格子およびImmersed Boundary法を用いて,単一ベシクルの変形挙動および複数個のベシクル間の相互干渉に関する数値シミュレーシヨンを行ない,単純なベシクルモデルに関する知見を得た.
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