研究概要 |
本研究は 触診用アクティブセンサシステムを開発するものである。特に男性高齢者の病気として現在著しく増加している前立腺癌・肥大症用の触診について着目し、母材となるゴムに圧電フィルムを組み合わせた積層センサ構造について有限要素法による解析を行ない、最適な出力が得られるセンサ形状および駆動法を検討し、解析結果の妥当性について実験室レベルにて検証を行つた。得られた結果を要約すると以下のとおりである。 1.有限要素法による静的解析結果より,センサの駆動法として一定応力を与える場合では対象物に関わらず,PVDFに生じる誘起電圧は同一の値であるが,それに比し一定変位による駆動の場合,対象物が異なるとPVDFに生じる誘起電圧に差が現れ,本センサ駆動法として適していることが確認された.さらにこの条件下で,対象物が正常組織の場合より癌組織の場合での誘起電圧が大きいことを明らかにした。さらにこの条件下で,対象物が正常組織の場合と癌組織の場合での誘起電圧の差は,センサ母材の硬さを癌組織の硬さとする場合に最も大きくなり,センサ母材材料として癌組織の硬さが最適であることを確認した. 2.解析とほぼ同じ条件下でヤンサの最適化実験を行い解析結果の妥当性を検証した.結果より,対象物が正常組織モデルゴムの場合より癌組織モデルゴムの場合でのセンサ出力値が大きくなり,また対象物が正常組織モデルゴムの場合と癌組織モデルゴムの場合でのセンサ出力値の差は,センサ母材として癌組織モデルゴムの硬さを用いる場合に最も大きくなることがわかった.以上より,解析結果の妥当性が確認された.
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