研究概要 |
本研究は触診用アクティブセンサシステムを開発するものである。特に男性高齢者の病気として現在著しく増加している前立腺癌・肥大症用の触診について着目し,これらの判別可能とする触診センサの開発について昨年度に引き続き有限要素法による解析による最適設計とさらに得られた知見と操作性を考慮した指装着型のセンサの設計および試作を行った。得られた結果を要約すると以下のとおりである。 1 昨年度有限要素法によって最適な駆動法や母材の硬さについて検討を行ったが、本年度はセンサを駆動する最適な周波数を得るため動的解析を行った。得られた結果より駆動周波数を100Hz以下とすることで安定した出力が得られることが解析より得られた。 2 昨年度得られた結果と1)の結果をもとにセンサの設計指針は、高分子圧電材料を受感材として用い、駆動周波数は100Hz以下の変位振幅による振動機構によって駆動され、センサ母材には癌と同じ程度の硬さの材料とする。前立腺は体内深部にあるため、センサと前立腺の接触状況の把握は困難であり、簡単に接触状況を把握できることが要求される。このため前述の指針を満たし、さらに指に感覚が伝わるような指装着型のセンサを試作した。指先端にセンサ部を装着し、指自体を動かす事を可能とするテンドン方式による駆動機構の製作を行った。実験室レベルの実験でセンサ部の特性について確認したところ、ヤング率とセンサ出力に線形な関係が見られ硬さ判別が十分可能であることが確認された。駆動機構部分については肛門からの挿入を考えると現在試作しているものよりさらなる小型化か別の方策の検討が必要であることがわかった。
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