研究概要 |
平成15年度(1年目)の研究により,高い生産性,低コスト化の可能な簡易な構造でありながら,アンテナの効率低下の主要因であったグレーティングローブと呼ばれる不要放射が生じない導波管スロットアンテナの構成方法を考案し,その構成に適したアンテナ素子を提案した. 導波管の管内波長は,原理的に自由空間波長よりも長いため,グレーティングローブと呼ばれる不要放射が,効率低下の本質的な問題であった.そこで本研究では,管内波長を短くするために導波管広壁幅を広く設定した.この場合にスロットからの放射量が低下してしまい,設計不可能となってしまう問題が生じるが,ポスト付導波管狭壁スロットアンテナと呼ばれる新構造の素子を提案することにより,スロットからの放射量を大きくすると同時に,反射損失の小さい素子を実現し,グレーティングローブレベル上昇の原因となるビームチルト設計の手法をとることなくアンテナを設計できた. これまでに,電磁界シミュレータを用いてアンテナ素子の特性を電磁界解析する一方で,本予算により試作した12GHz帯スケールモデルの特性を,同じく本予算で導入したベクトルネットワークアナライザを用いて測定し,電磁界解析との両面からパラメータスタディすることにより,新構造のアンテナ素子の設計自由度を確認した. さらに,提案のアンテナ素子を用いた場合の素子間隔を見積もることにより,不要放射であるグレーティングローブレベルの低減量と発生方向を求め,アンテナ素子の効果について詳細に調べた.また,研究代表者の過去の研究で提案されたグレーティングローブレベル低減技術を,本手法と組み合わせることで,非常に大きな効果が期待できることが確認された. 平成16年度は,本技術を導入したアレーアンテナの設計を進め,ミリ波帯において本技術を用いたアンテナを実現する.
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