研究概要 |
本年度は,昨年度に可動子が固定子にタッチダウンしたモータ停止状態から始動して浮上制御を行う際に,非常に大きな電流が必要となることがシミュレーションにより分かったので,浮上検証用の簡易モータの試作を行った。具体的にはスパイラルモータの1層のみを取り出し,非スパイラル構造としたもので,アキシャルギャップ型の磁気浮上モータと同等の構造となっている。また,有限要素解析による銅損・鉄損解析および熱解析を行い,簡易モータを用いた実験と比較を行った。その結果,実験機の熱伝達係数は解析モデルとほぼ一致し,約5W/m^2Kとなることが分かった。さらに,解析によりステータとフレームの構造を最適設計することで,約10Aの電流(実効値)を流すことができることが分かった。また,スパイラルモータでは出力軸がスパイラル運動するが,直線運動のみを出力として取り出す必要がある。そこで,スパイラル運動を直線運動に変換する機構を設計し,試作を行った。また,スパイラルモータの駆動には2セットの3相インバータが必要となる。通常のインバータには6個の半導体パワーデバイスが用いられるため,合計12個の半導体パワーデバイスが必要となる。そこで,より少ない数のパワーデバイスで2セットの3相インバータと同等の動作が可能な新しいインバータの回路トポロジーを考案し,シミュレーションにより有効性を確認した。以上の成果に関して、複数の国際学会および国内学会にて発表を行った。
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