本年度は、雰囲気制御装置付き電気炉などの現有設備の改良を行うとともに、チタンの還元プロセスの開発研究が遂行できるようにステンレス鋼製反応容器や原料供給システムを新たに自作した。改良を行った雰囲気制御装置付き電気炉を用いて、アルゴンガス雰囲気下約1073〜1173Kの範囲の一定温度で、溶融塩媒体(塩化カルシウム)中で導電体を介した反応(EMR:Electronically Mediated Raction)制御により、金属還元剤(カルシウム-銅合金およびカルシウム-ニッケル合金)が放出する電子を利用して酸化物(二酸化チタン)を還元する実験を行った。供給原料を効率よく還元する手法として、還元助剤(フラックス:塩化カルシウム)を含む原料成形体(プリフォーム)の利用を検討した。この結果還元助剤を添加することにより、効率よく還元反応が進行することがわかった。また、EMRの利用により同一溶融塩浴中で、純度99.5mass%以上の均一な金属チタン粉末を製造できることを実証した。さらに、実験条件と得られる金属チタン粉末の関係を調べた結果、原料成形体の組成比などを制御することによって、金属チタン粉末の形態制御の実現可能性が示された。
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