研究課題
本研究は、金属熱還元反応における電気化学的な反応を利用してチタンを還元する新しい製錬法の開発を目的とする。具体的には、原料と還元剤を直接接触させず、還元剤が放出する電子を利用して溶融塩中でチタンを還元し、高純度のチタンを製造する新しい還元プロセスの開発を目指す。また、原料を含む成形体(プリフォーム)を製造し、還元剤蒸気による金属熱還元を行うプリフォーム還元法についても検討を行う。プリフォーム還元法には空間利用効率が高い、スケーラビリティが大きく、反応装置の大型化も容易で低コストでプロセスの半連続化が可能であるという利点がある。本年度は、プリフォーム還元法によって天然のチタン鉱石であるルチル鉱から直接チタン粉末を製造する可能性について検討を行った。ルチル鉱から直接チタン粉末を製造できることが実証されれば、現在行われている鉱石アップグレードのためのコストを削減可能である。フラックス(塩化脱鉄剤・反応助剤)の種類およびチタン鉱石との混合比(カチオン比)、反応時間、反応温度などを実験パラメータとした。その結果、詳細な反応経路は明確にはならなかったものの、プリフォーム焼成時に脱鉄反応が進行し、鉄濃度2mass%程度のチタン鉱石から鉄濃度が0.03mass%のチタンを直接製造できることがわかった。
すべて 2005
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Journal of Physics and Chemistry of Solids 66,2-4
ページ: 410-413