バイオマスは、植物が水と炭酸ガスから光合成した有機資源であり、これをエネルギー利用した場合に排出した炭酸ガスは、空気中の炭酸ガス濃度向上に寄与しない「カーボンニュートラル」な性質を持っているため、バイオマスは再生可能資源として位置づけられている。バイオマスのエネルギー利用の中で特にガス化は非常に重要な技術といえる。しかし、これまでは、無触媒で空気による部分燃焼で行われてきた。このプロセスは、1173-1673K程度の非常に高い温度で行われている。これに対して、高性能Rh/CeO_2/SiO_2触媒と流動層反応器を用いることよって反応温度を773-873K程度の、従来技術よりはるか低温にさげることを目指したプロセス開発を行ってきた。これまでの研究においては、バイオマスのモデル化合物としてのセルロースや、木質系バイオマスとして杉のガス化を検討してきた。これに対して、本年度は、稲わら、ジュート、バガス、スペントモルト、建築廃材などについてのガス化の検討を行った。特に、稲わらのような、灰分の多いガス化反応に対しては、触媒が迅速に劣化してしまうことを見出した。これに対して、反応器を改造し、固体分のチャーと灰を分離し、タール分とガス成分のみを触媒層へ導入できるようにしたところ、灰分を多量に含むバイオマスについても触媒を用いることによってかなり高い効率でガス化が可能であることを実証した。さらに硫化水素を含んだガスを用いて耐硫黄性を評価し、開発触媒は長寿命が期待できることを示した。
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