研究概要 |
再生可能資源バイオマスの熱分解に由来するタールを水素や合成ガスへと変換する触媒の開発及びその作用機構の解明を行ってきた。我々はこれまでバイオマスのガス化反応において、反応温度の低下およびTarを効率的に合成ガスへと改質することで、反応効率の向上を目的とした触媒を使用したプロセスの研究を行ってきた。本研究では、特に高価な金属であるRhに代わり安価なNiを用いたバイオマスの水蒸気ガス化用の触媒の開発を行った。まずさまざま酸化物を担体を使用したNi担持触媒について活性試験およびH_2-TPR,XRD,BET,H_2吸着量測定、TGA等のキャラクタリゼーションを通じて、触媒の性能評価を行った。その結果、Ni/Al_2O_3触媒がTarの改質について高い性能を示し、Ni/CeO_2触媒がガス化反応中に触媒上に生成し、触媒の活性劣化の原因となるCokeの抑制に高い効果を示した。Tar改質はNi/Al_2O_3の高いNi分散性に因るもので、Coke抑制はCeO_2担体の特性に因るものである事が分かった。 先の結果を踏まえ、Al_2O_3とCeO_2を組み合わせたNi触媒の高活性を期待し、調製法やNi,CeO_2の担持量を変えた様々なNi/CeO_2/Al_2O_3触媒を調製し、触媒の最適化および各種のキャラクタリゼーションを行い触媒を評価した。活性試験からNi/Al_2O_3触媒へのCeO_2添加によるCokeの抑制効果が確認された。最適化の結果、共含浸法(Ni前駆体とCeO_2前駆体をAl_2O_3担体上に同時に担持する方法)で調製した、Ni/CeO_2/Al_2O_3が最も高い活性を示した。そしてこの触媒を含め、逐次含浸法(Al_2O_3担体にCeO_2を担持した後、Niを担持する方法)により調製したNi/CeO_2/Al_2O_3とNi/Al_2O_3について担体効果の際と同様のキャラクタリゼーションに加え、Ni K-edge EXAFS,TEM観察を行った。その結果は共含浸で調製した触媒はNi/Al_2O_3および逐次含浸で調製した触媒に比べ、Ni粒子がこう分散した微粒子として存在し、またNiとCeO_2との強い相互作用の存在が明らかになり、これが、高い性能につながっていることを明らかにした。
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