研究概要 |
本年度は、ジェネレータカラムを用いたクロロベンゼン類(CBs)およびダイオキシン類(PCDD/Fs)の水溶解度測定およびCOSMO-RSによる水溶解度の推算を行った。CBsに関しては、1,2-DiCBおよびHxCBの純水中での飽和溶解度を15℃から55℃の範囲で測定し、溶解エンタルピーを求めた。1,2-DiCBの溶解エンタルピーは10.49kJ/mol、HxCBの溶解エンタルピーは33.50kJ/molが得られた。また、水溶液中に溶解した塩類(NaCl,KCl,CaCl_2)のHxCBの水溶解度におよぼす影響を測定し、塩析効果を調査した。ダイオキシン類に関しては、DDおよびDFの水溶解度を25℃で測定し、既に報告されている文献値と良い一致を見たので、今後、塩素化ダイオキシン類の測定を進めていく。 COSOM-RS(密度汎関数法により対象分子が誘電体中に埋まった状態を仮定し、分子表面のスクリーニング電荷密度を求める。溶液中の分子間相互作用を、スクリーニング電荷密度を用いて分子間相互作用エネルギーとして表す。この分子相互作用エネルギーを化学ポテンシャルに変換し、溶解度を推算する。)による水溶解度の推算に関しては、1,2-DCB、1,3-DCB、1,4-DCB、1,2,3-TCB、1,2,4-TCB、1,3,5-TCB、1,2,3,4-TeCB、1,2,3,5-TeCB、1,2,4,5-TeCB、PeCB、HxCBに対して15oCから55oCの範囲で行い、本測定値および文献値と良い一致を示した。また、それらCBsに関して、塩析(NaCl,KCl,CaCl_2)効果の推算も行った。HxCBに関して、塩析効果を本測定と推算を比較し、比較的良い一致を見たので、今後ダイオキシシ類の関しても推算を行っていく。 現在、水溶液中固体粒子への吸脱着量測定の準備も行っている。
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