昨年の実験結果からβサブユニット上流転写調節領域における窒素応答領域が転写開始点から-732bp〜-631bpの間にあることが明らかとなった。そこで、One-Hybrid系を使い、ダイズcDNAライブラリからこの配列に結合するタンパク質をスクリーニングすることを試みた。その結果67個の陽性コロニーを得ることができ、現在その遺伝子配列を解析している。さらに昨年決定された101bpにはすでに報告されているSEF1タンパク質が結合する領域が含まれている。現在その近傍25bpに絞り込み同様の実験を進めている。 昨年の実験結果から、マクロアレイの結果より得られた遺伝子のうち、GENf064f11(サリチル酸誘導タンパク質)、MPDL080a09f(フォスファターゼ)、MWM089d11r(26S rRNA)について、ダイズ種子mRNAとノーザンハイブリダイゼーションによりその発現パターンを確認した。その結果、3種全てがアレイの結果と同様であった。さらに、ダイズ未熟子葉の試験管培養系において培地にフォスファターゼの阻害剤であるオルトバナジン酸を添加すると恒常的に発現しているレクチン遺伝子には影響を及ぼさなかったが、βサブユニットの転写は著しく阻害された。このことから、種子に対する窒素供給の増加のシグナル伝達にはフォスファターゼが関与していることが示された。
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