1.食物アレルギー発症メカニズムの解明および減感作ワクチン作製の試み 1-1.牛肉アレルゲンであるウシ血清アルブミン(BSA)の主要なIgE結合エピトープEXXVを含むペプチド2種、即ち、HPEYAVSVLLおよびVMENFVAFと、これらに含まれるE残基をDに置換したアナログペプチドを合成し、これらのペプチドを患者末梢血リンパ球(PBMC)培養液に添加し、増殖応答およびサイトカイン変動を解析した。その結果、D残基により増殖が亢進し、サイトカインバランスがTh1へシフトする可能性が示唆された。 1-2.小麦繰り返し配列 小麦グルテンより、QQPFPおよびPQQPF配列をIgE結合エピトープとして新たに見出した。 2.食物アレルギー寛解メカニズムの解明 2-1.低アレルゲン化小麦粉の負荷により症状の改善が認められた患者について、負荷前と負荷途中とで、患者末梢血リンパ球(PBMC)の遺伝子発現に変化がみられるかどうかを、昨年度に引き続きDNAチップ解析に供し解析した。 2-2.低アレルゲン化小麦粉の負荷(臨床試験-1) 3ヶ月間の投与試験を行った。80%以上の患者で有効であることが明らかとなった。 3.抗アレルギー食品設計基盤の確立 抗アレルギー食品設計の一環として、醤油中の小麦アレルゲンに着目し、醸造中アレルゲンの消長を詳細に解析した。その結果、醸造終了時には小麦アレルゲンが完全に消失していることを3種類の免疫学試験により証明した。 4.新規評価系の構築 肥満細胞上のIgE抗体に抗原が結合・架橋化する時に生じる肥満細胞内のシグナル伝達を解析する目的で、電気生理学的装置を用いる解析システムの構築を試みた。
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