研究概要 |
断根挿し木植物の生産や利用において,挿し木直後に植物が受ける水ストレスを緩和し,その後の成長を促進することは重要である.本研究では挿し木前に24時間湿度環境を制御することによって断根挿し木植物の水ストレス緩和させた.植物材料にキュウリを用い,高相対湿度(約80%)および低相対湿度(約20%)で子葉展開後6日間育成した.それらの個体を24時間,それぞれ低相対湿度および高相対湿度条件で処理し,蒸散特性および断根挿し木後の成長を調べた.高相対湿度および低相対湿度で7日間育成する試験区も設けた.高相対湿度で育成した個体は24時間低相対湿度で処理することによって蒸散特性が蒸散抑制側になり,高相対湿度で育成した個体よりも断根挿し木後の水ストレスが緩和された.他方,低相対湿度で育成した個体は24時間高相対湿度で処理することによって蒸散特性が蒸散促進側になり,低相対湿度で育成した個体よりも挿し木後のストレスが増大することが明らかとなった. 上記の低相対湿度が植物の蒸散特性に与える影響は,光照射条件や処理期間によって異なると考えられることから,低相対湿度処理中における光照射の必要性を検討した.その結果,暗黒での低相対湿度処理はキュウリの断根挿し木後の成長に影響しなかった.光照射下での低相対湿度処理は断根挿し木後のストレストを緩和して成長を促進したことから,水ストレス緩和を目的とした低相対湿度処理には光照射が必要と考えられた。
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