本研究はイヌにおいてTh1型サイトカインを誘導する免疫療法を開発することを最終目的とし、今年度においてはDNAオリゴヌクレオチドおよびリステリア死菌抗原によるイヌ末梢血単核球からのIFN-γ誘導について検討を行った。予備実験として、7頭の健常犬(ビーグル、1歳齢)から抹消血単核球を比重遠心分離法によって採取し、動物種全般にそのIFN-γ誘導能が報告されいているDNAオリゴヌクレオチドを用いてIFN-gmRNAの発現における最適濃度、最適刺激時間について検討を行った。その結果、0.1から10μMのCpGオリゴヌクレオチドにおいては1μMの濃度においてIFN-γmRNAが十分に上昇することがわかった。また、刺激時間についてはCpGオリゴヌクレオチド添加後12時間、24時間のIFN-γmRNAの発言を検討したところ、24時間においてほとんどのイヌでその発現がピークとなることがわかった。以上のことから、今後の実験系においてはCpGオリゴヌクレオチドこよる刺激は濃度1μM、24時間刺激で検討することとした。 検討するCpGオリゴヌクレオチドについては、広い動物種にTh1誘導を示すことがわかっている配列および新たにイヌ寄生虫のDNAを参考にして設定した配列、合計11種類の配列によるイヌIFN-γ誘導についてELISAおよびTaqManシステムによって検討した。その結果、一種類の配列においてIFN-γタンパクおよびmRNA発現がその他の配列および陰性コントロールと比較して統計学的に有意に上昇することがわかった。さらに現在はこのCpG配列によるIL-4、IL-12、IL-18のmRNA発現においてさらに詳細に検討する必要があると思われた。
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