研究概要 |
従来の研究結果から、イオン排泄・再吸収メカニズムにおいて腎遠位尿細管基底膜側カリウムチャネルが重要な役割を果たすことを明らかにしていた(J Physiol.2002:538:391-404)。更に、腎遠位尿細管基底膜側にはKir4.1が発現すること、Kir5.1/Kir4.1 heteromerが腎臓において酸塩基調節に関与すること、も明らかにしていたが(J Physiol.2000:525:587-92)、Kir5.1の腎臓内局在は解明されておらず、腎臓においてKir5.1 homomerやKir4.1 homomerが独自の働きを示す可能性があった。本年度の研究では、Kir5.1特異的抗体を作製しKir5.1の腎臓内局在を明らかにした。Kir4.1との二重染色法を用いることにより、腎内においてKir5.1とKir4.1は共に遠位尿細管基底膜側に局在を示し、Kir5.1/Kir4.1 heteromerとして存在することを明らかにした。更に、このheteromer細胞内局在がKir4.1のカルボシキル末端の細胞質内105アミノ酸により規定されることを明らかにした(投稿中)。これらの研究によりイオン排泄・再吸収メカニズムに関与する因子を分子レベルで解明出来ることが期待できる。 また、イオン排泄・再吸収メカニズムの破綻により生ずると考えられる高血圧の新たなる治療法に関して、臨床的見地からの解明の試みも行い、発表している(Hypertens Res.26:863-8,2003)。
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