研究課題
本研究ではRAB27A遺伝子の欠損・変異により引き起こされるヒト遺伝病Griscelli Syndromeの発症メカニズムを分子レベルで解明することを目的としている。本年度は昨年度に引き続きGriScelli syndrome患者に特徴的な毛髪の白色化(メラノソーム輸送異常)に焦点を当て、Rab27Aを介するメラノソーム輸送の分子メカニズムの全貌を解明することに成功した(J. Biol. Chem. 279, 22314-22321; Nature Cell Biol. 6, 1195-1203)。すなわち、メラノサイト(メラニン色素産生細胞)においては二種類のRab27Aエフェクター(Slac2-a及びSlp2-a)が豊富に発現しており、Rab27Aはこれらの分子を連続的且つ秩序立って用いることによりメラノソームを核周辺から細胞膜まで輸送していたのである。まず、Slac2-aがメラノソーム上のRab27Aとモーター蛋白質であるミオシンVaと三者複合体を形成し、メラノソームを核周辺から細胞膜周辺へと輸送し、次いでSlp2-aと結合することによりメラノソームを細胞膜へとつなぎ止める(Slp2-aのC2Aドメインが細胞膜の構成成分であるボスファチジルセリンと結合する)ことが明らかとなった。また、Slp2-aにはRab27Aの機能とは無関係にメラノサイトの細胞形態を細長く保ち、メラノソームを隣接するケラチノサイトや毛母細胞にトランスファーしやすくする機能があることも明らかとなった。さらに、Slp2-aの機能を個体レベルで解析するため、Slp2-aを欠損するマウスの作成も行い、現在その表現系を解析中である。
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すべて 雑誌論文 (15件)
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